開発室から

モーションタイトの開発についてⅧ

2022年1月5日掲載

「ねじ山をほんの少しだけ撓ませる」モーションタイトの構造とも言えるこの発想により、ボルトの性能は飛躍的に向上します。はめ合い第一ねじ山の応力集中を防ぎ、荷重分担率を平均化することで、頭飛びや座屈、めねじへのダメージや片当たりが解消されるようになります。また、緩み防止力や疲労強度が向上し、焼き付きも防ぐことができます。

モーションタイトは内燃機関のボルトとしても採用されています。一般のボルトの場合は、耐久試験などで高温になると膨張し、伸びて軸力が低下するため緩みやすくなるのですが、モーションタイトは膨張すると、ばね反力が上がり摩擦力が上昇するため緩みにくくなります。この事は、耐久テスト後の戻しトルクが一般のボルトよりも、さらに大きくなることで実証されています。

昨年はM2からM30のボルトまで幅広く受注を受けることができました。緩みや折損対策として「モーションタイト」を使用して頂き感謝申し上げます。ユーザーになって頂いたお客様に、緩まなかった、折損しなかったということで謝意を頂くことは開発者にとって至上の喜びです。この声を大切にしながら、「モーションタイト」の活躍の場を世界中に広げていきたいと考えています。

モーションタイトの開発についてⅦ

2021年1月5日掲載

「モーションタイト」は、標準のねじよりも1~2割高い締め付けで同等の軸力が出る構造となっています。当然、戻しトルクも高くなるため、これだけでも緩みにくいことがわかります。

緩まないこと、2割増しの振幅荷重でも折損しないこと、安定した軸力が得られること、などの優れた性能により、より高い軸力設定が可能となります。それにより、ボルトのダウンサイジングが可能になれば、軽量化に加え、ボルトの値段が下がるため、大幅な原価低減となります。2種類のねじを1種類に統一することで工具も削減でき、現場の作業効率も向上します。さらに、ねじ長さを短くすることで、締結物を薄く軽くし、タップ穴も短くできるなど、設計者の1グラムを削る苦労を吹き飛ばすような多大なメリットが得られます。

10年後には、乗り物の電動化が世界中で進みます。大容量のバッテリーを抱えるため、軽量化はこれまで以上に求められます。

変えられないと言われていた要素技術の分野で、軽量化というイノベーションを起こすことができたら、物づくりの世界を根本から変えることができるのではないでしょうか。

新型コロナに負けない熱、情熱を持ち続けて、研究開発を続けていきます。

モーションタイトの開発についてⅥ

2020年1月5日掲載

「モーションタイト」は、アルミダイカストの締結に優れています。座面に対し、嵌め合い3山のねじで引っ張り合いをする通常のねじは、接触座面がへたったり、アルミダイカスト側の雌ねじを変形させたりします。3山に荷重が集中する通常のねじよりも、嵌め合い全域に荷重が分散する「モーションタイト」のほうが、バランスの良い締結を行うことができます。

昨年は、台湾とベトナムで各1社、製造販売契約を結ぶことができました。「モーションタイト」を初めて海外へ運ぶことができたわけですが、新しい製品を海外展開していくことは容易ではありません。今後は、欧米への展開を見据えて、性能をアピールしていけたらと考えています。

さて、今年の目標は「緩まないタッピングねじ」を開発することです。毎年、新しい課題に取り組んでいますが、タッピングねじの開発は初めてなので、ワクワクしています。タッピングねじの良いところは、設計の自由度が大きいので、大胆な形状が考えられるということでしょうか。考え方は「モーションタイト」の設計と同じで、いかに軸を引っ張ることができるかです。軸がきちんと引っ張られたねじは簡単には緩みません。この当たり前のことが、実は一番難しいのですが、これまでの経験値で何とかなるのではないかと期待しています。

さまざまな種類の「モーションタイト」が、いずれ市場のデファクトスタンダードとなり、ねじの緩みによる事故を防いでくれること、これが開発のモチベーションになっています。

モーションタイトの開発についてⅤ

2019年1月5日掲載

ここ1、2年、大手企業様から、ねじの緩みや折損の相談を受ける機会が多くなりました。当たり前のことですが、緩みや折損には必ず原因があります。原因の大半は軸力のバラツキによるものですが、なかには、ねじの片当たりによるものが原因であったり、雌ねじ側であるタップ穴の精度が悪かったりと、簡単には原因が分かりにくいケースも見受けられます。軸力のバラツキや片当たりが原因による緩みや折損には、ねじ山が弾性変形しながら締め付けられるモーションタイトが大きな効果を発揮します。嵌め合い3山に荷重が集中する一般のねじに比べて、全ねじ山に荷重が分散されるモーションタイトは、安定した軸力が得られるだけでなく、全ねじ山からの弾性反発力により、圧倒的な緩み防止力を発揮します。

現在、疲労強度が大幅に向上するねじ山形状の開発を進めており、標準品よりも1.5倍程度の疲労強度が得られる形状が完成しつつあります。既に販売しているモーションタイトでも1.2倍程度の疲労強度は得られているのですが、より大きな疲労強度が得られることにより、ボルトのダウンサイジングによる軽量化や大幅なコストダウンを実現させることができます。雄ねじ山頂部から雌ねじに接触させる現行のモーションタイトと違い、新しい開発品は一般のねじと同じように、雄ねじと雌ねじが平行に接触する形状になっています。無限の形状の中から絞り込む作業は、気の遠くなるような作業でもありますが、反面、大きな喜びが伴う作業でもあります。ものづくりの真髄がここにあります。

モーションタイトの開発についてⅣ

2018年1月5日掲載

ねじ山の荷重分担率が、通常のねじよりも均等化されるモーションタイトは、緩み防止力が大きく、疲労強度も向上します。特に、ねじのはめ合い長さがナットの山数に限定されてしまう通しボルト(ボルト・ナット締結)よりも、はめ合い長さが大きいねじ込みボルト(ボルト・タップ締結)の場合、圧倒的な緩み防止力を発揮します。

また、ねじ山の弾性効果により、接触面の摩擦熱を逃がすことで焼き付きを防いだり、軸力低下を生む弾性相互作用の影響を受けにくくしたりと、ボルト締結が抱えている問題に対応できる製品となっています。

その他にも軸力のバラツキを減少させる、ねじの片当たりを緩和する、などねじ山の弾性がもたらす利点は数多くあります。

そのうえで、最も強調したいことは、モーションタイトは、通常のねじとまったく同じ作業性を有するということです。インパクトレンチでも、ナットランナーでも、普通に締め付けるだけで作業が完了します。特別なナットやワッシャー、接着剤などを使用することなく緩み止めを完成させます。

そして、多少の締め付け誤差が生じても簡単に緩むことがないモーションタイトは、生産工場におけるねじ締結管理を楽に行うことができる唯一の製品ではないかと考えています。

モーションタイトの開発についてⅢ

2017年1月5日掲載

モーションタイトは、おねじとめねじのフランク面を平行に接触させるのではなく、おねじ山頂部から、めねじフランク面に徐々に接触させる構造となっています。ねじ山の弾性量を少しだけ増やすことにより「強力な緩み防止力・高い疲労強度・安定した軸力・焼き付き防止」といった従来のねじにはない新しい機能が生まれました。

これまで、めねじ材料が鉄などの材料に緩み防止力を発揮してきたモーションタイトですが、今年は、軽量化のために欠かせないGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)といったプラスチック材料に対しても緩み防止力を発揮できるかどうかのテストに取り組みたいと思っています。FRPへのボルト接合は「高温になるとFRP側にへたりが発生するために軸力が極端に低下する」という欠点がこれまでも指摘されてきました。そこで、ねじ山の接触面積を最適化し、ねじ山の弾性量を増やすことで面圧を低下させることができれば、極端な軸力低下は起きないのではないかと考えています。

毎年、新しい課題が出てきますが、ねじの緩み(軸力の低下)は、いい加減な締結管理はもちろんのこと、少しの環境変化でも起きるものです。おねじ材料・めねじ材料・表面処理の違いによる摩擦係数の変化など、緩みの要因は多々ありますが「誰もが簡単に締め付けるだけで緩みを抑えることができるねじ」を目指して、モーションタイトの開発はこれからも続きます。

モーションタイトの開発についてⅡ

2016年1月5日掲載

モーションタイトの販売をスタートして2年が経過しました。昨年は、提携先が増えるとともに大手企業での採用も増え、まさに販売元年ともいえる年になりました。安全を支える重要部品としての採用も多く、「価格は標準品とほとんど変わらないのに性能は圧倒的に優れている」という点が評価されたのではないかと思います。又、提携先の皆さんの販売努力のおかげでもあると感謝しています。

さて、今年の開発目標は、至難の業とされてきたアルミボルトの疲労強度を向上させることです。軽量化のために欧州では自動車への採用が増えていますが、日本でもその動きは早まっています。強度面で不安が残るアルミボルトの疲労強度を上げることができれば、燃費向上にも大きく貢献できます。「緩みにくく折れにくい」というモーションタイトの特徴が、アルミなどの材料でも適用できれば、海外への普及も早まるのではないかと期待しています。

昨年は、中小企業が大企業に立ち向かう「下町ロケット」が大きな話題を呼びました。あの物語のように、モーションタイトが本当にロケットに採用される日がくるかもしれません。その日に備えて、これからもモーションタイトの性能を高め続けていきたいと考えています。

モーションタイトの開発について

2015年1月5日掲載

普通のねじを標準トルクで締め付けて振動試験(NAS3350)を行っても強度区分8.8以上の熱処理ボルトの場合、簡単に緩むことはありません。但し、たとえば100本振動試験を行うとすると、軸力のバラツキのために1~2本程度は早く緩む可能性があります。製造メーカーは、このたった1本の緩みのために接着剤を使用したり、緩み止めナットを使用したりします。当然、ボルトの本数が多ければ多いほどかかるコストは莫大なものになっていきます。しかし、1%でも緩みの可能性があれば対応せざるをえないのが安全を求める世の中の現状です。

この1%を無くすために開発した製品がモーションタイトです。モーションタイトは、軸力のばらつきが標準品の1/2程度なので、緩みの原因とされる極端に低下した軸力を付与されることがありません。そのうえで、わずかに撓んだねじ山の弾性力で強力な緩み防止力を発揮します。

この世の中で、どんな条件下においても絶対に緩まないというねじは存在しませんし、今後どれだけ時間とお金をかけても開発されることはないでしょう。しかし、ある条件下においては緩まない、というねじはこれまでにもたくさん存在しています。そのある条件下という選択肢が最も多いねじがモーションタイトであれば、開発者にとってこれ以上幸せなことはありません。是非多くの皆様にモーションタイトを知ってもらい、こんなに便利で性能の良いねじがあることを経験して頂きたいと思います。

汎用性の高いねじは、誰もが簡単にしかも安価で使用できるものでなければ意味がありません。近い将来、モーションタイトが「最も信頼のおけるねじ」として世界中で紹介されるように、さらに性能を高めた製品作りに努めてまいります。

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